重大なネタバレ満載なのでご注意ください。



未プレイの方向けのレビューはこちら。

【The Witcher3】クリア後レビュー 洋ゲー史上最高のストーリー!【未プレイの方向け】

これで書いたことはこの記事には書かないので、できれば読んでいただきたいです。



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最初は普通にレビュー書いていたのですが、全て書くとえらい長くなってしまいました。


その為、「ストーリー偏」と「ゲーム偏」で分けています。 


今回はストーリーのレビューとなります。

※ゲーム部分のレビューはこちら


とはいえマルチエンディングなので私の物語と皆さんの物語は違ったものかもしれません。

ご注意ください。

私のエンディング

 

 






メインサブ問わず物語として非常に完成度が高い



プレイ前に思っていた印象とは違って、ムービーが意外に少ないです。


途中頻繁に入る会話イベントはムービーのようでいてムービーではありません。



会話中はカメラが固定されて専用の画面になるというだけ。


ムービーと言ってしまえばそうなんですが、それ自体別に作られた動き(剣を振ったりとか)ではありません。

特にサブクエストは会話イベントこそあるものの、あくまでゲーム上の話といった感じ。RPGだとありがちですね。

動きや展開カメラワークではなく、会話劇を中心にした物語。つまり映像的な演出がサブの場合は全くと言っていいほどないし、メインでも少ないのです。


(例えば最近プレイしていたGTAVでは毎回のミッションにムービーが入り、映画的な演出が多く見られました)




にも関わらず




非常に良いのです。

話としてよく出来ているんですね。その為映像的な演出に頼らずとも面白い。


これは驚異的なことですよ。


ゲームである以上、ストーリーのみを見るとすればこれは映像作品です。


映像的演出が皆無な映像作品が面白いなんてこと普通ならありえません。



元が小説というところを尊重しているのでしょうか。



前置きとして以上を言っておきます。






映像的演出も少ないながら良い



はい、映像に頼らずとも話が面白いと言っておきながらこれです。



話が面白い上、映像的演出も良いです。


もちろん、話が面白いことが前提としてあるからこそですけどね。




私は以下のシーンがこの作品のウィッチャーという職業(人種)を象徴する場面だと思っています。

それは瞑想して怪物を待つシーンです。





ウィッチャーへの依頼に多いこのシーンは、怪物退治屋としてのウィッチャーをよく表しています。


この世界で怪物・魔物・化物とは避けるべき存在です。明らかに。


これを待って剣を抜くゲラルト。ウィッチャーの生き方を象徴するシーンです。



映像的なことを見る前にこの動画のクエストを説明しておくと、これは「ウィッチャーへの依頼:白衣の女」で、結婚式を前にして亡くなった女性が、無念により死後ニールレイスと化した姿。



瞑想するゲラルトを背中越しに見て現れる白衣の女。

プレイヤーはこの短いムービーを見ながら「よっしゃやるか」と肩を回すわけですよ。

戦闘前にゲラルトがつぶやく「踊るとしよう」もまたいいです。花嫁ですからね。


ニールレイスのビジュアルはおそらく初見ではないことでしょう。

しかしやはり化物然とした姿が強烈で、戦闘の緊張感を煽ってくれます。

それにこの女の身の上を聞いた上で現れるので、哀しみも同居してしまいますね。

頭の花飾りがまた・・・




映像は短いながらも構成がいいのでコンパクトにうまくまとまっている印象です。

ここで書いたように中には目を見張るものもありますが、悪く言うと無難ですね。

占める割合が少ないのでこれでいいとも思いますが。

 




ゲームにおける「ストーリー」


マクロミクロ共に秀逸な物語であることを書いてきましたが、本作はあくまでもゲームです。

 
いくら話がいいからといってゲーム性を阻害したりボリュームを損なってはいけません。


本作はメインストーリーのみでも50時間以上とかなりのボリュームがあります。

何にでも共通することですが、長ければいいというものでもありません。



特に本作は中盤までの目的が「シリを見つける」というただ一つの目的に費やされるので、いくらシリの情報の代わりに受けた仕事が良くできたストーリーであっても、大目的は変わらない為、どうしても中だるみになってしまいます。



事実私もシリの手がかりの見返りに仕事を要求され続け、それだけならまだしも・・・

シリの手がかりを知っているダンディリオンの手がかりを知っているディクストラの仕事をした辺りで(もう何が何だか・・・)
一端コントローラーを置きましたもんね。


 

ただ、この苦労が一気に解消される展開になっているので全く問題ありません。


それはシリを見つけた後の展開。


まずシリの後ろ姿を見た時です。


これまで苦労した分「やっと見つけた」という感動が大きくなるし、冷たくなってしまったシリを抱くゲラルトの悲壮感に同調します。

だからこそシリが動いた時の感動はひとしお。


劇的ではありますが、割とよくある展開でもあります。

しかし、前振りが非常に長く、その徒労があったおかげでそれを思わせません。



そしてもう一つ。

これまで無理難題を押し付けてきた人物達を尋ねていって、ワイルドハントとの戦いに備える。



これはもう強烈なカタルシスでした。


目的を達成してサヨナラではなく、その後も続くゲラルトと人々の関係。

物語が繋がっていて過去の行動が後に活きてくるという展開には痺れました。




あくまで私は、ですが、これまでの苦労が全て報われました


報われる苦労は歓迎する方ですよ。





これはつまり、ゲームのストーリーとして優れているということです。


プレイヤーに飽きさせずに多くのクエストをプレイさせるという目的の最適解と言っていいかもしれません。


ストーリー展開によってプレイヤーが強いられた徒労をカタルシスに昇華させた。

シリを探す為にしてきたこれまでの苦労が、後にシリを守ることに直接繋がって活きたわけです。







愛を求める


私は元々ラブロマンスものやら恋愛映画は嫌いです。


アクション映画の恋愛要素もいらないくらいで、だからこそエクスペンタブルズを楽しめたような気もしているほどです。(ホモじゃないけどね)



しかし、ウィッチャー3では常に愛を求めていました



これって作品としてそうなるように仕組んでいるんでしょうか。実際のところはわかりませんが、そうだとして話を続けます。


常日頃から浴びせられる罵声。こんな主人公がありますか。


「ウィッチャーだ・・・」「髪を洗っているのか?」「子供を攫うって本当?」「この街から出て行け!」


などなど。 


クエストでは基本感謝されるのがまた。

感謝されるのは嬉しいのですが、どうしても

自分にとって利益となる→感謝
通りすがり→罵倒 


という人間の醜いところが表れるようで、無条件でいい気分とはなりません。


しかもこれが愛する者であるシリを探している途上なのがなんとも悲しい。



だからこそ、家族愛であれ情愛であれ友情愛であれ、とにかく愛を渇望して冒険していました。


そういう背景があったからか、愛を体現するエピソードにはただならぬ感動がありましたね。


描写も非常に良くできていたと思います。


最初はキーラです。

ヴェセミルやイェネファーと別れて寂しい思いをしていた私に向けられた一筋の情愛。

それだけで喜んでいました。「貴方との予感もしていたのよ?」


そしてキーラとの夜。


本作のラブロマンスへのこだわりを感じます。

目を閉じるといなくなっているキーラ。脱ぎ捨てられている衣服を辿っていくというおとぎ話のようなロマンチックな演出に興奮しながら追う。


湖畔での一夜はラブロマンス嫌いの私でも好きなシーンです。


だからこそ、その後キーラを殺した時には落ち込んだんですけどね。






多彩なキャラクター


RPGには多彩なキャラクターがつきもので、こういった洋ゲーのRPGは特に顕著です。


本作にも膨大な量の人物がゲラルトに関わってくるのですが、それらの人物とゲラルトの関係性は上に書いた通り。

一つのクエストに出てくる人物ではなく、ゲラルトの関係者としてその後も続く関係性を大事にしています



しかしそれ以上に一人一人のキャラクターの背景がちゃんと描かれているのが印象的。


ディクストラを例に取ると、彼は大都市ノヴィグラドの裏の顔役で、ゲラルトとは過去作で関わってきた人物でもあります。

シリ捜索のキーとなるダンディリオンに繋がる人物で、彼はゲラルトに仕事を頼みます。


これは単なる出会いで、その後もディクストラはゲラルトを信用して仕事を頼みます。


彼の目的は「ラドヴィッド暗殺」で、徐々にその目的にゲラルトを引き込んできます。


ディクストラは単なるクエスト発注者ではありません。

彼には最初からラドヴィッド暗殺という目的があり、目的達成の為にゲラルトを利用していたに過ぎません。


このように、キャラクター一人一人にもゲラルトのように物語があり、その物語に関わったゲラルトという位置付け。

ゲラルトの物語を修飾するだけの存在とはとても言えないほど、一人一人にちゃんと物語があります。




最終局面でのシリの「これは私の物語なの」にも通じる話で、この言葉を聞いた時にはシリにはシリの物語があり、たまたまゲラルト目線でそれを見ていただけなのだということを突きつけられました。


シリの他の登場人物にも、その人物なりの物語があるのです。






好きなシーン


私が一番好きなシーンはケィア・モルヘンでのワイルドハントとの決戦時のヴェセミルおじさん。




「お前は言うことを聞かん奴だな」

「だがそこが好きだったぞ」





5:00~




最初のチュートリアルから「言うこと聞かない」と言ってきて、

ここにきて「そこが好きだった」とか絶対泣くやろそんなもん・・・



人質になった人が仲間を守る為自ら命を絶つという展開はありがちですが、これまでのことも相まってこのシーンの破壊力は高い。


ウィッチャーの生き方にも起因しますね。

仲間という意識はあるものの、元々仲間を庇って死ぬような人種ではありません。






その後のゲラルトの悲痛に満ちた表情もグッときます。


ウィッチャーはベッドで死ぬことはできないとはいえ、ゲラルトにとって唯一の目上の人の死。





シリを見つけてからはゲラルトがシリの物語の協力者的立ち位置になりますから、悲しむシリを見守るゲラルトの傍観者的な構図もまた悲しい。







もう一つは振り返るとそこに・・・です。


選択肢によって分岐する世界についてはお伝えしたとおりですが、トリスをノヴィグラドから逃がすところではそれがあるからこそ感動が大きい。


トリス「じゃあね」

「うわあああ!どこで間違ったあああ!トリス行くな!トリス!」と悶絶する私。



からのディクストラ「後ろを向け」でトリスが見えた時の感動と言ったら・・・!


他のゲームではトリスが去るとなっても「えー」くらいですが、本作では自分の選択によってこうなったのかという思いが常にある為、その分ショックは大きい。いや大きすぎる。あまりにも。(一週目で大好きなキーラと戦うことになってしまったからこそこう思う)


多大なショックを前振りにした時のあのクサい演出ったらもう・・・





サイコー!!!



と言わざるを得ないでしょう常識的に考えて。



その後の会話もいいんですよねえ。

ゲラルト「もう人の為に命を懸けるのはやめてくれ」

トリス「駄目よ」

ゲラルト「もうノヴィグラドに魔術師はいない。どうして・・・」

トリス「でも貴方がいる」




トリス・・・好き






総括


ストーリーは大変素晴らしいです。


特に言いたいのは細部に渡り話が良くできている上に押し付けがましくないこと。

クエストの背景などはさらっと流すこともできます。あくまで匂わす程度にことの顛末を示しているのも好印象。

秘められた背景をプレイヤー側が想像して楽しむことができるようになっています。全てを説明しない、かつよく調べて考えればわかるようにはなっている。このバランスも絶妙で心地よい。




既に書きましたが、一人一人の登場人物の物語が脈々と続いており、ゲラルトに関わった人物の物語がゲラルトの物語と密接に関わってくる過程が、長い旅路も相まって強烈なカタルシスを生む仕組みとなっている。


その為長い話に意味を持たせることを可能にしており、これが超大編ゲームのストーリーとしてうまいこと機能しています。


その上、ミクロな物語一つ一つのクオリティも素晴らしい。




つまり、ストーリーめちゃくちゃいいぞ!ってことです。




これは前作や原作も補完したくなりますねぇ。時間が足りない・・・