ヒャッハー!


もう公開されて半年くらい経つけど今更レビューするぜ!


Witness meeee

witnessme


専門的な知識は無いので「このシーンはアクションを担当した誰々さんが~」のようなレビューはできません。
設定資料なども全て網羅はできていないと思いますが、まぁその辺はすまんな!

テンションで書く。ネタバレ注意。





マジで走ってる!爆発してる!異常な絵作りへのこだわり



本作には緻密なストーリーテリングや奥深いテーマなど褒めるところはいくらでもあります。
(余談ですが「本作」という言葉は造語らしいです。辞書に載っていない)



しかしまずこれを言っておかなければならんでしょう。



何はともあれアクションが素晴らしいよ。


素晴らし過ぎる!


人に勧めるとすればここは無条件で絶賛できる部分ですね。ストーリーなどは大なり小なり主観が入りますが、アクションについては普遍的な評価ができると思う。

おそらく、本作を気に入らなかった人もアクションの素晴らしさは認めざるを得ないのではないか。



公開前のトレーラー



このトレーラー微妙やな



現実離れした世界観を擁する作品ですから、言ってしまえば非現実的な絵作りではあります。

doof-wagon-2

しかしながら圧倒的な現実感を感じるんですよね。


それもそのはずで、これ実際にこんな車が走ってます。

Fury_Road_Doof_Wagon_001


例えばここにスマホを持ち込んで同じ構図で写真を撮ると、上の画像とほぼ同じ写真が撮れます。

画像処理(特殊効果)は一部のCGと命綱などを消すことくらいのもので、本当にこんなスピーカーが付いた車(ドゥーフ・ワゴン。音も出る)を作ってドゥーフ・ウォリアー(ギター男)を乗せて走らせているところを撮影しているのです。


車の爆発シーンでもCGを使わず、本当に爆発させてそれを撮影しています。

上のトレーラー冒頭でインターセプターが横転するシーンがありますが、あれ本当に走らせて横転させてるのを撮影してるんですよ。




現実感?違うね。これは現実だよ。
 



リアルにこだわって撮影された画面は見事の一言。

空気感まで伝わってくるようですよ。




カーアクションだけでなく役者のアクションもかなり良く、一つ一つのカットに必然性があります。

例えば鎖で繋がれていたら前へ進む時にイチイチ鎖を手で操りながら進む。細かい部分ですが、実際に鎖に繋がれた状態で撮影したからこそのものだと思う。

二人が鎖に繋がれたシーンの撮影では「トム(マックス役)が監督に呼ばれたら二人で走って行かなければならなかった」とニュークス役のニコラス・ホルトが言っていました。


他だと逆さ吊りのマックスをフュリオサが掴んでいるシーンで、ニュークスがマックスを蹴って敵の車に飛び移るのですが、その瞬間フュリオサは「あああ」と叫んでいる。
フュリオサからはニュークスが見えていないのでマックスを落としたと思ったのでしょう。このように、細かいアクションにも意味を持たせているので行動の必然性が高まるのです。





カットの必然性と役者については後の項目で詳しく。





無駄なカット一切無し ストーリーテリングの妙



本作をただのドカーン!バーン!なアクション映画だと思ったら大間違い。


ここまで極限に無駄なシーンをカットし、かつ巧妙にストーリーテリングできている作品はなかなかありませんよ。
(まぁタランティーノみたいな無駄な会話や意味の無いキメポーズばかりの映画も好きなんですが)


ジョージミラー監督のインタビューでも言及されていたように、サイレント映画のような雰囲気さえあります。台詞が無くてもストーリーが分かる。
台詞の量がかなり少ないからこそ数少ない台詞が活きる活きる。



敵同士だったマックスとフュリオサが徐々に仲間になっていく様など圧巻。

台詞は無いですが、目線一つが、銃を渡す動作一つが、ストーリーを動かす大きな力になっています。

これをよく表すシーンがこれ。


 
1:30~黙って銃を渡すシーン。

台詞無しで渡すからこそ、その後の「Don't breathe(息を止めて)」が際立つ。音楽の効果も大きい。




キャラ付けも凝っています。

一人一人バックボーンを意識して肉付けされており、誰かに注目して見ると全員に物語がある。




序盤と終盤の対比で見せる演出も見事で、例えば有名なこのシーン。



ウォーボーイズの生き方(死に方)を表した印象的なシーンで、「Witness me(俺を見届けろ)」という台詞が観客の心を掴みます。

ウォーボーイズのこの言葉は死んで生きるという宗教(最高だ)に殉じる行動を示していて、行動原理や異常性を表すシーンにもなっています。

序盤にこの台詞を印象付けたことで終盤のニュークスを際立たせる。
意味合いが変わっている点では死に様の対比と言ってもいいでしょう。

他にもブーツの件やワイブス達の心情の変化など、対比で際立って見せる演出が随所に見られて物語の肉付け一役買っています。




無駄なシーンを極力削ることで観客はこれらを意味のあるものとして受け止めることができ、結果わかりやすくなっているのだと思います。


大筋はもちろんのこと、キャラ一人一人の関係性の推移や心情の変化も掴みやすい構成になっているので、「このシーンはこうじゃないか、ああじゃないか」という見方をしなくともすんなり理解できるというわけ。

もちろんそんな風に考えながら見ても楽しめます。全てのシーンに何かしらの意味があるように思えるから不思議。というか事実裏設定などがたくさんあるので注目した部分に意図や意味があるのかもしれません。



唯一不満というかこれは無くてもいいのではと思うシーンは子供のフラッシュバック。

あれは前日談のコミックスネタらしいのですが、せっかく全編通して前作を知らなくても全然オッケーな作りなのにあれがあるおかげで(他の全てに意味があるように見えるせいもあって)疑問に思ってしまいかねないかもしれません。

「ああ、過去に何か抱えているものがあるのだろう」くらいに思っておいて問題無いレベルではありますが、他が完璧故に無い方がいいかも(あくまで"かも")と思いますね。




役者の熱



役者の質はトップクラスです。


特にシャーリーズセロンは生涯ベスト級。


彼女の稀有な演技によってフュリオサという人物を語り尽くせています。表情一つで心を語るような味のある演技がたまりません。演出部分を無視してもです。


緑の地が失われたことを知ったフュリオサの慟哭、刺され演技、ギガホースに乗ってから「Remember me?」までの一連の流れ。挙げればキリがない。



最高です。



それまである意味で完全無欠のように見えたフュリオサが気力を振り絞りながらも弱さを見せる、頭突きを食らわすも効いていないというシーンなんかもう「フュリオサ・・・フュリオサー!と拳を振り上げる思い(何度見ても)。




他の主要な役者さん達も素晴らしく、役者なのかモデルなのかよく知らないワイブス達ですら登場人物として説得力がある。
(世界観的に説得力が無いからこそ作品的には良くなっていると言った方が正しいかも)




これは撮影環境のせいかもしれませんね。スリット役のジョシュ・ヘルマンが言っていた(うろ覚え)のですが、かなり特殊な撮影環境で映画内の設定そのままのような状況で何日も撮影が続いた為、特にウォーボーイズの連中はハイになっていたそうです。

宣伝でも使われたこのシーン。

slit01

演技指導などは無く、なんとなくやっていたところを使われていて驚いたというようなことを仰っていました。

いや、こうしろって言われないとこんなことしない、できないだろと。


このような状況下での撮影だった為、役者の心が設定へ、よりマッドに近づいていったのかもしれませんね。



レビューは以上。


未視聴の方向け→
全てにおいてめちゃくちゃ高レベルで映画としてよくできているし、アガる要素満載で楽しいから見てみて。
合わなかったとしてもそれはそれでいいから!見て!



ファン向け→

20150719_1165486




つまりはこういうことが言いたかった。



ソフトが既に出ています。

_SL1500_

特典映像もたまらんです。見るべき。

特に「この映像はこう撮ったんだよ」という舞台裏映像は常軌を逸しています。






マッドマックスよもやま話



以下、見ていて思ったことを書き殴るコーナー




・ジョーに健康な子供って居なかったのか
ジョーの息子ってリクタスとコーパスだけなんですね。
最高司令官の一人も息子と勘違いしていました。
スプレンディドの子供が健康体だったことが悲し過ぎる。
健康な実子を産む為にワイブスを集めたと思うと・・・
ウォーボーイズ達は皆体を蝕まれている者達で、ジョーも然り。
病人を養子にしつつ、健康な実子を求めていたのですね。
イモーターン!



・ワイブスの部屋
ワイブスの部屋を一時停止を駆使して見て回ると、この世界においておそらく唯一、文化的な生活を送っていた女達なんだなと改めて思います。
機能性よりも造詣を意識して作られた内装に、山と積まれた本、緑。
その超快適な生活を捨ててでも人間であることを選んだというわけか・・・ううむ、それにしては順応が良過ぎるが・・・まぁいいでしょう。
この夢のような生活(ジョーへの恨み方を見ると特殊性癖でもあったのかと疑いたくなるが)と決別することを選んだ理由はやはり、知識を与えてしまったからだろう。禁断の果実というワケか。



・イモータンジョーと武器将軍、人喰い男爵の関係性
彼らは古くからの戦友だそうなので、どの程度の関係を築いていたか気になるところ。
割と対等に話している感じでしたよね。
ウォー・リグに水とミルクとガソリンが満載だったのはガスタウンで物々交換に使う為か、それとも交互に補給する為なのか、どちらかで随分関係性が変わってきますよね。
前者なら同盟関係の別組織、後者なら同組織内の部下(もしくは別部署)といった感じ。
フューリーロードにおいて水を守る為に武装は必要だろうし、どちらにも取れるんだよなぁ。
戦友であったことと追走劇で対等に話していたことを考慮して、あくまでジョーの部下であると思っておきます。



・「Remember me?」の解釈
字幕では「私を覚えてる?」(吹き替えでも同じ)と訳されています。
あの場面で「覚えてる?」なんて、大隊長なんて大役任せるくらいだし冒頭で名前呼んでるしそりゃ認識してるだろ!というわけで一瞬考えさせる台詞。人によって解釈が変わるかも。
フュリオサはワイブスとして連れて来られ、子生み女としては役に立たず解雇されたもののその後戦闘員となって信を得た。反逆は「何度も」やったらしい。
素直に取れば「昔反抗してたの覚えてる?」みたいな意味でしょう。
もし幅を持たせるなら「思い出した?」というニュアンスで捉えても面白いかもしれない。
一時の従順からの「(反逆してた私を)思い出すでしょ」としても好きですね。あの時から変わってないんだぜ的な感じで。意訳になるのかな。



・イモータンジョーの死因問題
ボスの死亡シーンが明確に描かれないのがマッドマックスの伝統なのか、あまり鮮明に描かれていませんよね。
銛みたいなのをマスクに引っ掛けてタイヤで一気に引っ張ったわけですが、血がかなり出ています。
ジョー様は呼吸器が無ければ生きられない身。
死因は窒息(?)かもしれませんがマスクが取れた瞬間死んでるみたいなので下顎ごとごっそりいかれて即死だったのかも。元々弱ってるし。
透明ボディースーツに灰を吹きかけるのもよくわからん。あの儀式的な雰囲気は好きだけど。
最後ジョーの遺体に民衆が群がりますが、あれは聖骸布の奪い合いという感じでした。どこかで「民衆もジョーを恨んでいたのだ」というようなことを読みましたが、私は違うと思う。



・後のシタデル
あの後シタデルはどうなったのか?
ジョーを倒したことでフュリオサは「次のジョー」として祭り上げられているように見えました。
おそらくフュリオサ大隊長の下統治されることになるのでしょう。
シタデルの人口限界値がどの程度かわからない(水はまだしも食物製造は限界があるはず)けど、下界の奴らまで養うほどの製造能力は無いと思う。そうなると無視かこれまでのような支配かしかないわけですが、彼女の性格からして恐怖政治宗教政治はできないように思う。正直言って支配は難しいでしょう。これまで上手くいっていたのはジョーの手腕故であって、あれでもギリギリのラインだったんじゃないかな。
今のところジョーの息子コーパス(頭がキレそう)、ダグのお腹にはジョーの子供が居ますし、ウォーボーイズや民衆の中には反対勢力もいるでしょう。もっと言うとおそらくバレットファームとガスタウン(独自の支配体制があるかもしれない為)の残党は一定数残っているはず。エース(フュリオサの下で伝令をしていたゴーグル)が自分の意思でフュリオサを敵と判断した例もあるし彼らだって馬鹿ではないのだからクーデターもあるかも。つーかフュリオサを「ジョーを殺した悪」として喧伝してジョーの後継者として誰かを擁立できれば割と簡単に成功するかもしれない。彼女は王の器ではない。優しすぎます。
うまくいく希望は鉄馬の女の種かな。この栽培がうまくいけばあるいは。

ところで、貴重な水まで使って民衆を支配していた理由は何?
私にはウォーボーイズ候補製造くらいしか思いつきません。未公開シーンに「この子をウォーボーイズにして!」と言っていた母親が居たことから、単に兵隊を得る為なのかなと思いました。
ジョーは割に優しい男ではありますが、さすがに理が無いのに施しを与えるほどのお人よしではないでしょう。
それとも描写されていないだけで何か労働でもさせていたのか?




あとがき



最後の方とかつらつら書き過ぎてえらく長文になっちゃったな・・・


マッドマックスのレビューなんか今更で、それもこれまで映画のレビューや感想なんて書いたこと無いのに何故この記事を書くに至ったかというと、先日TBSラジオ「タマフル」で本作のキャッチコピーの募集がありまして、私も考えて投稿したところなんと採用されて、プレゼントとしてBD&DVDとトートバッグをいただいてしまったのです。

タマフル「マッドマックス怒りのキャッチコピーデスロード」トートバッグとBD&DVDが届いた!

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これはもう少しでもBD&DVDが売れる為に協力するしか無かろう!というわけで、映画を見たのは結構前ですが今更レビューすることにしました。


依頼なんてされていないのでこれぞ真のステマと言えるかもしれない。