METAL GEAR SOLID V: The Phantom Pain

pacage


レビュー・評価です。


ネタバレが気になる方はご注意ください。


 



ゲームとストーリーの親和性



報復という目的を持って結成されたダイヤモンドドッグズ。

ありとあらゆる任務を請け、彼らの基地であり家でもあるマザーベースを発展させて報復の為に力を付ける。


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というのが当面の目標となります。

(ストーリーについては後述)




マザーベースを発展させるというゲーム性がストーリーに直結しています。


その為、ゲームのモチベーションを高く保つことができるようになっています。


ゲーム中のほぼ全ての行動に「マザーベース発展」が関わっていると言ってもよいほどで、他の目的(例えば報復相手の情報を探るなど)を追って行動していたとしても、その行動さえマザーベース発展に寄与する(できる)ようなシステムになっています。




カットシーンが非常に多くムービーゲーと揶揄されることもあったメタルギアシリーズですが、今作ではカットシーンは極端に減らされており、これもゲームに集中させてくれる作りとなっています。

ストーリー主導だったメタルギアがゲーム主導へ進化したという印象。


ゲーム主導の例として、過去シリーズではリニアだったストーリー展開が、今回ではオープンワールドに例えられるように自由な設計へと変化しています。

例えばある場所に行く、一定の条件を満たすことでしか発生しないカットシーンが用意されていたり、重要なキャラクターの生死までも選択することができるなど、このような点でもゲーム主導でストーリーが進むことを強く意識した作りが見られます。

が、これらの要素は極少数と言えます。もっとたくさんあってもいいと思うんですけどね。
(まだ見つけられていないだけかもしれないがその可能性は低いでしょう)







ゲームとストーリーの親和性を高める要素がもう一つ。

それはオープンフィールドです。

本作は広大なオープンフィールドを備えており、アフガン、アンゴラを再現したマップに点々と敵拠点が配置されています。


しかしミッションは空中司令室(ヘリの中)で受注してそこから現地へ飛ぶことがほとんどで、メインミッションを始めるとフィールド内の一定の範囲から出ることがせきなくなります。
(陸路で移動することもできますがヘリの方が早い)


これは異なこと。
ミッション一覧から選んで出撃、しかもメインミッションはオープンフィールドの中の一定の範囲が定められてその中で進む?ならオープンフィールドではなくステージ式て良いのでは?という疑問が当然出てきますよね。



しかし、オープンフィールドだからこそ得られる感覚があるのです。


例えばA拠点にいる○○を排除しろというミッションがあったとすると当然A拠点を舞台に物語は進むのですが、やっていることは違うもののA拠点は常にそこにあるのです。


ストーリー上の目的によってA拠点に立ち寄ることもあれば、散歩の途中にでも立ち寄ることが出来るということ。


ストーリーに必要だからそこに拠点があるのではなく、そこにある拠点でストーリーが展開するという感覚です。
(説明が難しい・・・)


物語の為に世界があるのではなく、世界で物語が展開している感覚とでも言いますか、オープンフィールドがあることでより一層現実感を感じることができるのです。


これも物語とゲームの親和性を高める要因になっていると思います。


オープンフィールドがあればミッションをやらなくてもそこでずっと戦い続けることもできるわけで、単純にゲーム的な面白さに繋がっているということもありますしね。








ゲームを遊ばせてくれる作りであり、ゲームとストーリーの親和性も高い。

ゲームプレイを中心に進む今作。


そしてそのゲーム部分が他に類を見ないほど面白いときています。


ゲーム部分はシリーズ過去最高・・・いや、あらゆるアクションゲームと比べてもトップクラスです。






ゲームとして非常によくできている



・メインミッション
物語の進行に関わる任務

・サイドオプス
その他のマザーベース発展の為の任務

・オープンフィールドで自由な行動
これも内容によってはマザーベース発展に寄与


主なゲームプレイはこの三つになります。(オフでは)



その全てに共通する要素が潜入・戦闘です。


マザーベースを除くとゲーム中で行ける場所は戦場のみですからね。



敵がいる拠点(基地、村落跡、工場、関所などなど)に潜入して目的を達成するわけですが、なにより自由度が高いです。


例えば「○○を排除しろ」という任務だったとすれば、

・○○の場所を自力で探す、敵兵を尋問する
・ルートは東西南北どこからでも
・隠れて進む、真正面から突撃
・○○を生かして捕まえる、殺す
・道中の敵は全員無視する、殺す、捕まえる
・任務達成後は帰投する、そのまま現地に残る

などなど挙げればキリがないほどの選択肢があり、それぞれに適した装備もあります。


これに加えて敵兵と相対する時の選択肢の量も凄まじく、生死から無力化の方法からその後の処理までこれまた膨大な量の選択肢にまみれています。


しかも、その時の状況によって敵が違った動きをする上、こちらへの対策として様々な新しい装備を使うようになるので、戦場の状況によって自分のスタイルも柔軟に変えていかなければなりません。


もっと言うと自由行動の中では任務内容すら自分の頭の中で設定することだってできる(ほとんどの場合が「スタッフ獲得」にはなりますが)のです。




このような選択の連続によって多様性が生まれます。

自分一人がやっていることでさえ一度として同じ戦闘がないと言っても過言ではないほどで、プレイヤーが違えば更に多くの展開が生まれることでしょう。



ステージの密度は物凄いことになっています。

基地一つ取っても作り込みが凄まじく、起伏に富んでいて変化があるマップが面白い。




マザーベースの育成にもこれが良い作用をもたらします。

マザーベースの発展の為には戦場で敵兵士または捕虜を回収して自軍にスカウトすることで仲間を増やすのですが、その為には何度も潜入を繰り返さなければなりません。

同じ拠点に何度潜入しても楽しめる作りとなっている為、プレイして楽しい上にそれがマザーベースの発展にも繋がるということです。






意欲は感じるもののシリーズファンには物足りないかも



ここからストーリーの話が入ってくるのでネタバレ注意(重大なネタバレはありませんが)です。







今作はこれまでのメタルギアシリーズとはかなり雰囲気が違います。

スネークを交えた会話劇がほぼないと言ってもいいほどで、事件が起きてもそれに対する言及はあまりされません。



これはプレイヤーに解釈を委ねるという演出なのだと思います。


この時スネークはどう思っていたのだろう、カズは、オセロットは、ヒューイは、と想像することができます。

本作がゲームプレイ中心にできている、つまり進行の多くをプレイヤーの手に委ねているのと同じように、ストーリーの解釈もプレイヤーの手に委ねる形で多くが語られないのです。


これを裏付けるものとして、主人公(スネーク、プレイヤー)が見た物だけが描かれるという点も付け加えましょう。


本作はほぼ全てのシーンがヴェノムスネークの主観で描かれ、ヴェノムのあずかり知らないところで起きた出来事はカセットテープ音声で語られるという形式。
(主観で描かれるのはシリーズ通してある程度一貫しています)

これによってプレイヤーはスネークと同化し、物語を見るのではなく物語を体験、体感するという感覚が強くなるのです。


プレイヤー=ヴェノムスネーク

ということは本作の大きなテーマの一つです。





ただし、従来のシリーズと大きく違うことも確かで、ここは賛否がわかれるところでしょう。



会話がないから楽しくない!大事なシーンの映像がない!

と思う人もいるでしょうし、

多くが語られないので自分で想像して楽しむことができる

という人もいるでしょう。





ここを私見を交えて評価すると、


意欲は買うがもっとビッグボスを見たかった


というのが正直なところです。


これまでメタルギアシリーズを作ってきた小島監督およびコジプロの面々にとって、過去シリーズを踏襲した形で物語を作ることはできたはずです。

しかし今回シリーズの伝統を裏切るこのような形となったことは、新しいことを描こうとする意欲であると言えます。


とは言えそれによって魅力が減少してしまったと感じたことは正直なところです。

おそらく多くのファンがこう思っていることでしょう。






以下からネタバレ度強となりますので未プレイの方は読まない方がいいです。














物足りなさという意味では「ファンには」という枕言葉を付けなくても不満が残ります。

第一章であっさりスカルフェイスを倒しましたが、壮大な予告(これもゲームとしては異例の演出ですね)があった為にそれは気になりませんでした。

しかし第二章をプレイした後では第一章にさえ不満が沸いてきます。

ラスボスがあんなにあっさりかよとか。

これで第二章が納得のボリュームであれば、またはスカルフェイス以上のインパクトある明確な目的を達成できていたら、第一章には文句がなかったはず。


細かい部分で言うと、サヘラントロプスに関してもっと色々あってもよかった(「蝿の王」カットの影響か)し、ママルも何かしらマザーベースの役に立つようなことがあってよかったはずだし、水以外には最強とも思えた燃える男が踏んづけられて死ぬし、オセロットは本物のビッグボスには敬語でヴェノムと扱いが違い過ぎるし・・・言いたいことが大量にあります。







「俺はお前であり、お前は俺だ」



ヴェノムスネークがビッグボスのファントム(影武者)=GZのメディック=プレイヤーのアバターだと明かされたところでMGSVはエンディングを迎えます。


メタルギアシリーズがこれまで培ってきた歴史全てをぶつけるような強いメッセージで、受け取り方によって様々な思いが生まれるでしょう。


私=スネークであり、伝説を作ってきたのはプレイヤーだというオチで、この記事でこれまで語ってきたプレイヤーに解釈を委ねる、プレイヤー=ヴェノム、ゲーム主導で進む物語、などそれら全てを内包するメッセージとなっています。




このオチがあるせいで作品全体がメタ的な展開だったと言えます。

今作のシナリオにはかなり無理がありますが、それを無理やり解釈すると「お前(プレイヤー)だからこそ成せた」というところに落ち着きます。


ビッグボス曰く「隊で一番優秀だった」とは言えヴェノムは一兵士のメディックでしかない男。

メタルギアとは、The BOSS、BIG BOSS、そしてビッグボスのクローンである息子達と受け継がれてきた遺伝子(意志)の物語であったはずです。

なのに今回はその流れにはない男(ヴェノム)が思い込みによってビッグボスのファントムを勤め上げるという偉業を成しています。



ヴェノム=プレイヤーということを考慮すると、こんなことができたのはプレイヤー=ヴェノム(メタルギアサーガを作ってきたお前)だったからということなんですね。

あくまで無理に解釈すると、ということですよ。




タイトルも


MGS5ではなくMGSV



METAL GEAR SOLID Venom


小島監督は発売前に「5ではなくV」と仰っていましたしね。

つまりはメタルギアソリッド「あなた」だったという、5とVのダブルミーニングなのかもしれません






不満点



ゲーム部分の不満はヘリ移動ができなかったというところくらいで、シナリオについての不満の方が多いです。



ここで不満点を挙げたとしても、全てが「そこは自分で解釈してね」で済んでしまうような、そんなズルいシナリオ全てが不満です。
解釈できないこともないですが、作中で語られて然るべきだろうと思うことは多い。

描かれるべきものが描かれていない。

・エンディングに至るまでのこと
・急に終わる第二章(第一章は打倒スカルフェイスという大目標があった)
・MG1に至るまで(これが描かれると宣伝していたのですから)
・イーライのその後
カットされたであろう「蝿の王」は作中に無くてはなりません。イーライの持つ英語株は作中で言及されていますので解決しておかなければそれはシナリオの欠陥です。

このくらい挙げて終わります。




総評・あとがき



総評すると、


シナリオは不完全だし賛否が分かれる作り。ゲームが文句無しに面白いだけに非常にもったいない


という感じですね。

エンディングについて賛否が分かれそうだ(個人的な感想としては総合すると否)だけならまだしも、不完全なシナリオは無条件でいただけません。

解釈次第というだけでは説明がつかないくらい描かれるべきものに言及していない。



何度でも言います。ゲームは良く出来ているんですけどね・・・



レビュー終わり。




これまでもレビューっぽいものは書いてきたのですが、部分部分であって総合してのレビューはしていなかったので書いてみました。

似ている部分もあり、他の記事で詳しく書いちゃったから少し簡略化して書いた部分もありといった感じになりましたね。


レビューとしては最終的に否定的な評価にしましたが、個人的には楽しんでプレイしているのでなんとも言い難いんですよね。

クリア後も基地を潰して回ったりやってなかったミッションしたりして着々と進んでいます。

あと二週間ほどでMGO3ということで、それまでは遊べそうです。